Viva!! 有田焼 ③
素焼きをせずに焼かれていた初期伊万里を経て、絵付けに一部素焼きを経て絵付けされるようになる1650年代以降頃になると、器体はより薄くなり、絵も繊細、丁寧な絵付けがなされるようになるようだ。
以下の画像はそれらの一部であるが、江戸、寛文期頃の作品と思われる。
初代柿右衛門により日本の色絵(赤絵)が始められたと云われる、1647年以降、様々な色絵の商品が作られるが、なかなかデザインと絵のバランスがユニークだ。
色絵が付く前の、ブルー&ホワイトを、日本では「染付」と呼んでいるが、これらに絵付けされたものを、「初期色絵」、又は「古九谷様式」と呼んでいる。云わゆる、色絵商品が完成される前の、つまり、完成期といわれる「柿右衛門様式」や「鍋島様式」に至る前の、プリミティブな中にもデザインの秀逸さが漂う時期の作品類といえる。
私は焼物を一切しないし、焼き上げることも出来ない。ただ、江戸期の九陶所蔵の作品類を目にするにつけ感じるのは、この完成前の作品類の、デザインの多様さ、秀逸さには圧倒されることがよくある。確立された身分制度の中で、焼物を作り上げた当時の有田の職人は、そういう時代の中でも、自由な表現を謳歌していたようにも感じられ、残されたものを見るにつけ、尊敬の念すら感じるのである。個人的に思うことは、現在、有田で焼物のデザインを学ぶ方たちは、この時期の作品のデザインにぜひ触れ、それらの素晴らしさを感じ取られたらいいのじゃないかということである。
もう20年以上前にもなるかと思うが、九陶の『柴田夫妻コレクション』のご主人である柴田さんの講演を九陶で聞いたことがある。「寄贈展」の折りかとも思う。そのときおっしゃっていたことをよく思い出す。それは、焼物の制作にかかわる方は、ぜひ(自分たちが寄贈した)これらの江戸期の作品を自由に手に取り、ご覧になってくださいとの言葉であった。そこから何かを学んでください、とのことだったように思う。
少し前、現九陶の館長の鈴田氏へこのことをお尋ねしたところ、手続きを取っていただいたら、本当にぜひ自由にご覧くださいとおっしゃっていた。’故きを温ねて新しきを知る’ の言葉もあり、焼物業に携わる方は、ぜひお申し出なさったらいかがかナと思う。
(山)