九陶 『白き黄金』 展

先日、九州陶磁文化館で開催中の 『白き黄金』展へ行って参りました。
九陶へ上る入口付近では、幾つもの同展の案内の看板あり、“さァ~いらっしゃい、『白き黄金』展へ!!”と強く誘わんばかりのアピールにホント、そそくさと・・(笑)。
まァ一言でいって、これは本当に見ごたえある展示だったと思いました。
入り口すぐ左側にチームラボによる“有田焼カフェ”。焼き物の絵柄と連動したCGによるデジタルアート。面白いですね~ェ。これはこれからの展示をチョットくつろいでご覧くださいネ、というリラックスの配慮ででもあるのでしょうか、ゆったりとした気分になれました・・ョ(笑)。
何といってもユニークな展示は江戸期の名品と明治以降の近代、現代の名品が並列して展示されてること、肥前のその地域ごとに特徴が分かるような展示となっていること。それ以前にもあったのかも知れませんが、九陶に足繁く通うようになって、少なくとも異なる時代の並列展示はここ20年位にはなかったかナ・・と思っています。
なるほど、かつて海外の人々をも魅了した『白き黄金』、有田そして肥前の磁器は、時代ごとに区分してのみでその魅力を感じるんじゃなく、時代を縦横無尽に行き来してこそ伝わって来るものが確かにある!!、とあらためて感じた展示内容でした。
‘全国からも幾つか名品が集まってる素晴らしい展示ですョ~、時間があったらぜひ!!、’と有田駅にて私が御案内しているのは、もちろん有田以外からお見えになられた方々。
実は、ココだけの話・・あまり声高くは言えませんが、こういう素晴らしい展示こそホントは有田の地元の方にこそぜひ観て頂きたい!!と思っているんです。現代の有田焼の"立ち位置”すら再確認できるんじゃないかナ・・とも思うんですが。それに、これだけの展示内容を無料で観れるなんておそらく九陶以外じゃあり得ないんじゃないでしょうか。有田焼創業400年を前にした、九州陶磁文化館の面目躍如の素晴らしい展示じゃないかナと私は思っています。
さて、ココからは全くの私事ですが・・(笑)、同展での武雄地区の焼き物サイトの奥の片隅に、初期伊万里(初期の有田焼)の鷺文様の小皿(小鉢)を二つ見つけました。次の2点なんですが、初期伊万里好きの私としては、ささやかなる感動を味わいました。一つはご存知有田陶磁美術館蔵のもので、もう一つは田中丸コレクション所蔵のもの。図録や実際の展示で、これまでそれぞれ観たことはあったんですが、まさかココで並んで観れるとは、チョットした驚きであり嬉しくなりました。
[『白き黄金』展々示の、以下2点]

有田陶磁美術館所蔵「染付鷺文皿」

田中丸コレクション「染付鷺図輪花小鉢」
[10年程前の、『初期伊万里展』(九陶)より、1点]

東北民藝館所蔵「染付鷺文六角小皿」
10年位前に九陶で『初期伊万里展』があったとき、或いはこの2点も並んでたかナと思い、かつて求めてた同展の図録を見たら、どうやら勘違いのようで、それは東北民藝館所蔵のものでした。(・・・今フト気づいたんですが、どうして鷺は皆左向き!?笑)
もちろん、これら以外に初期伊万里の鷺図小皿(小鉢)はどこかにまだ現存しているのでしょうが、まさにこの展示で2点同時に観れたのは、個人的なささやかな喜びでもありました。九陶さんに感謝!!です。
(山 口)