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有田の時間

九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

2020年10月28日

有田観光協会 at 16:15  | Comments(0)
九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。



 現在開催されています、九州陶磁文化館の特別企画展、『柴澤コレクション』を観に行ってきました。詳細は新着情報にありますが、江戸期を通じて北前船が運んだ肥前の器を中心とした展示で、その数、432件、1179点という圧倒的な量の展示でした。新潟にお住まいだった古美術蒐集に情熱を注がれた、故柴澤一仁(しばさわ かずひと)氏が寄贈なさったもので、館の40周年記念で寄贈記念展として企画されているものでした。
 食器類がコレクションの中心でしたが、何と5割近くが揃い物とのことで、質が良いものの蒐集がなされている印象を特に受けました。写真撮影、ブログアップOKとのことでしたので、私がちょっと気になった器を私見を交え幾つか挙げてみました。(番号は展示品に記載されたものです。順不同)

 
 001 染付花唐草文小皿

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 砂目積み小皿で、ごく初期の初期伊万里の貴重なお皿ですが、白磁が美しく、染付も良く、セットものとして、よくこれだけの数が大事に残されていたものだと本当に驚きました。[1610~1630年代]


 009 銹釉染付鷺文輪花小皿

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

古窯の山小屋窯周辺作と思われる初期伊万里のお皿ですが、明るい銹釉がちょっと珍しく、とても魅力的に感じました。
[1630~1640年代]


 011 青磁染付紅葉流水文盃台

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 青磁の盃台で、染付で紅葉と流水文がさりげなく描かれ、まわりがイゲ皿風の模様が入ったやはり初期伊万里です。[1630~1650年代]


 021 色絵椿蓮文大皿

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 この大皿の魅力は、何といっても大胆な色使いの迫力ある模様にあると思います。有田黒牟田の山辺田古窯作で、かつて古九谷と呼ばれた有田の初期色絵皿です。文化館の説明書きに、この裏文様の花唐草文は、伊豆大島に流された宇喜多秀家に関わる遺跡から出土した大皿に類似し、その生産年代が彼が死去する1655年を下限として考えられるとあります。加賀で云われている古九谷の起源である1656年を遡るため、古九谷加賀説の根拠が揺らぐ事案でもあるようです。[1650年代]


 
 201 色絵鶴文鶴形小皿

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 上下が同じ形に見えますが、若干下の方が小さいようです。下のは素焼き程度の低火度で焼成された生地に色絵が施された軟質施釉陶器とのことで、肥前ではやや特殊な製品とのこと。やや暗めに発色していて珍しく思いました。上の方は白磁胎。[上・1700~1740年代、下・18世紀前半頃]



 153 色絵花樹文小碗・小皿

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 とってもきれいな器です。枝垂桜の文様のカップアンドソーサーで、ヨーロッパからの里帰り品のようです。そう云えば、カップアンドソーサーはご存じのようにソーサーが付きますが、これは有田が初めて作り出したと云われています。熱い飲み物に直接触らないようにと、300年前の有田の職人が考え出した輸出時の工夫でもあったわけで、先人の知恵に驚きます。小さな取っ手が付く以前のことです。[1690~1720年代]



144 色絵枝垂桜婦人文小碗

九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 大きな碗のように見えますが、口径7.4cmの小碗です。元禄時代の婦人の文様と枝垂桜が丁寧に描かれた、とっても魅力ある器です。[1690~1710年代]


 
343 染付唐草文蓋付壺

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 云わゆる蛸(タコ)唐草文様の蓋付壺で、蓋付で36cmの高さがあります。説明書にありますが、豊後杵築藩が将軍家に例年献上した砂糖漬梅に有田製が用いられ、よく似た壺が杵築市に伝世しています。かなり前、杵築城に行った際、有田の黒牟田地区で杵築藩献上時の木札を見てましたので、城内の係員の方にお話し写真に撮って有田の資料館へ参考資料としてお届けしたことがありました。類似してますので、或いは黒牟田地区で製造されたものかも知れません。[1780~1840年代]



 419 色絵花蝶鳥文雨香斎銘小皿

 九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。九陶特別企画展『柴澤コレクション』観て来ました。

 こちらは中国、景徳鎮製の小皿ですが、見込みに「雨香斎」の字があります。有田では、それを写して染付の製品が有田の猿川窯で作られているとあります。右は、有田製の「雨香斎」の皿です(「柴田夫妻コレクション」図録より)。[左・1630~1640年代、右・1640~1650年代]




 ほんの一部、気になったのを挙げてみましたが、この他にも魅力的な、それも上質な焼き物が数多く展示されています。それにしても故柴澤氏は古美術に魅せられ、30歳頃から45年間もの長きにわたりこれらを蒐集されたとのこと、大変な情熱を注がれたことが偲ばれます。今後一同に会した展示はないだろうとのこと、観覧は無料ですので、ぜひ皆様もいかがでしょうか。期間は12月13日(日)まで開催の予定です。




                                                       
                                              (山)


  








 












 

 

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