『有田の川さらい』は、"有田の歴史の川さらい"。


去る8月3日に、有田町(歴史民俗資料館)主催の、”ベンジャラを探そう”、『歴史の川さらい』 の催しに行ってきました。これは、夏休み期間中、小学生を対象とした恒例行事の一つであり、昨年は新型コロナの影響だったでしょうか、開催が見送られていました。歴史民俗資料館のお手伝いをするボランティア組織、’れきみん応援団’の一人として、私もお手伝いさせて頂いた次第でした。
以前は、旧跡地にありました観光協会の2Fで資料館の方より事前学習や注意点等を受けた後、現地まで歩いて向かっていましたが、観光協会の移動等で今回は使えなかったこともあり、事前に資料館でその学習を受けて、生徒、ご父兄と共に、バスにて現地へ向かったのでした。
有田の方はご存知の方も多いのですが、ベンジャラとは焼物の破片(陶片)で、400年の長き有田の歴史の中で割れたりして破棄されたものが街中に数多く残っています。特に川原には長年の雨等で流されて堆積されているものが多くあり、図録等では未見のデザインや絵柄の文様が見つかったりして、子供たち以上にわくわく感に包まれる大人の方々もいるわけで、単に小学生のみならず大人も高揚感が得られる催しとも云えるかもしれません 。資料館の村上館長さんのお話として以前のこのブログにも記しましたが、土中に堆積しているベンジャラは風雨等の自然の脅威に晒されて残らないものがありますが、逆に川中は安定して残ってることもあり、現に数年前に、完品だったら1000万円もの名品と云える陶片を拾った小学生もいて本当に驚かされたものでした。
子供たちによって見つけられたベンジャラは、その場で村上館長さんの時代判定により、制作された年代の古い順に区分けされて各人がもつカードに点数が書き込まれます。古いものほど点数が高くなり、その合計点数により、後ほど資料館に戻ってから表彰などを受けられるのでした。子供たちによって見つけられたこれらのベンジャラは、秋の11月に歴史民俗資料館東館で展示公開される予定です。
ご父兄の方とのちょっとしたお話の中で、ご父兄がおっしゃったのは、「子供たちを交えてこういう催しが出来るのも、有田だからこそですよね~」と。本当にそうですねとお応えしましたが、改めて実際そうだと強く思いました。400年にわたって有田はずっと焼物を作り続け、それらの遺物が現にこの地に残っていることの奇跡。そしてその時代区分が10年単位で判別できるほどの研究が積まれてきていることの驚き。その時代判定を瞬時になさる研究者の方と共に、この『歴史のかわさらい』を体験出来るという幸せ。
あらためて、有田の焼物の歴史がもつ懐の深さと、それらを体験出来る私たちの幸運を思った次第でした。そして、今後もこの催しが続けられれば、町内の多くの小学生が参加し、自分の町の素晴らしさを知る良い機会となればナと思います。
(画像は旧画像です。)
[※ なお、陶片の無断発掘・採取は、文化財保護法で厳禁されています。]
(山)