今泉今右衛門 『染付 原点の色』展、& 『十四代 今泉今右衛門展』 ~ その魅力 !! ~
2024年11月18日
有田観光協会 at 18:39
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今右衛門古陶磁美術館で、令和6年度企画展、『染付 原点の色』展を観た時、最初に目にした作品にしばらく釘付けになった。今回の展示では、幾つかの初展示作品を観ることが出来たが、確かにその作品も染付の初見の鍋島の皿だった。美術館が開館した1997年来の初見でかつて図録でも観たことがないように思った。その形状は八角形。「染付唐花文八角皿」とあり、小さいながらも見事な造形で唐花文が精緻に描かれていた。染付の精緻さもさることながら、その染付の美しさが極まっていて、それは皿の裏面もまた素晴らしかった。今回のテーマである、「染付の美」をまさに集約したような美しさをそこに感じ、まさに第一歩の場所にふさわしい作品と感じた。
染付といっても、呉須の濃淡により様々な色を感じることが出来るように思う。釉薬に呉須を溶かした瑠璃釉にしても、通常の瑠璃色から薄い薄瑠璃とあり、同じブルーでも様々である。14代今右衛門氏の技法の代表とも云える墨弾き技法は、染付の呉須が遺憾なく発揮された見事な技術であるが、江戸期、かつて青海波、七宝繋ぎ文等にも使われていたが、その美しいブルーがあっての美しさでもあり、色絵とは違った落ち着いた魅力を持つものである。人によっては、色絵皿よりも、ブルー一色の「染付」が好きだという人もいてもおかしくない。
今回の展示でひさし振りに拝見して、懐かしく思った作品があった。かつて13代今右衛門氏がその不思議な魅力を語っておられた、「染付桜文三脚付皿」である。これは初期鍋島に属していたかと思うが、大きな一尺皿である。桜の花は伝統的な鍋島の花びらが丁寧に描かれているが、幹の下部周辺はラフに描かれ、背景は見事な薄瑠璃で全体を覆っている。13代は、硬軟揃ったところに魅力を見出されていたように感じていたので、それを思い出した。確か、二十数年前、「パリ展」の帰国記念展で福岡三越にも展示されていた。
鍋島染付の大皿(尺皿)については、今回9点ほど一斉に展示してあり壮観だった。有田焼の原点、染付を知る上でもとても良いと感じた。
『染付 原点の色』展 令和6年10月11日(金)~12月22日(日)
有田町赤絵町 今右衛門古陶磁美術館にて。
十四代今右衛門氏による、今後のショートギャラリートーク予定
11月30日(土)、12月14日(土)いずれも14時~14時20分
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今右衛門さんでは、先々週だったか、福岡三越で人間国宝認定十周年記念、『十四代 今泉今右衛門展』を観た。なかなか地元でも氏の作品の全貌を拝見することは困難なので、これはいい機会だと感じ、すぐ出かけた。
想像以上の素晴らしい作品類の展示で、百数十点をつぶさに鑑賞していったが、終始そのデザインの多彩さ、美しさに圧倒され続けた。先代の十三代の作品も素晴らしいと感じていたが、吹墨、薄墨、墨はじき、プラチナ彩、雪花墨はじき等、大きく変化発展されている十四代の表現の魅力には本当に驚かされる。明らかに鍋島の伝統を見据え、それに現代的な魅力を常にプラスし、その魅力を大きく広げておられるとあらためて感じたところだった。「地元だから、常にご覧いただけるとは限りませんもんね。」と温かくお迎え頂き、とても嬉しく思った。おっしゃってたのは本当にそうだなと感じた。やはり一見は如かずだったと思った。日本磁器の発祥の地有田で、間違いなく、日本で現在色絵磁器技術の最前線を走っておられる一人であるのは疑う余地はないと、さらにあらためて感じたところだった。終始興奮して帰宅したのは云うまでもない。
(山)